動物の病院 くすめ

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フィラリアとは

   

フィラリア症 (犬糸状虫症)とは・・

フィラリア症とは、フィラリアが主に犬の心臓(特に右心室)と肺静脈に寄生し、呼吸器系
、循環器系および泌尿器系に多様な障害をもたらします

 キーワード1

     フィラリアは、蚊によって媒介されます

 フィラリアは雄(オス)と雌(メス)の交尾によって雌が血液中に体長0.20.3mmほどの
ミクロフィラリア
と呼ばれる幼虫を生みます

蚊が犬を刺した時に血液とともに吸われたミクロフィラリアは蚊の体内で
2週間をかけて2脱皮し、感染能力のある「3期幼虫(感染幼虫)」
と呼ばれる幼虫に成長します
そして、蚊が再び犬を吸血した時に犬の体内へと侵入するのです
犬の体内に入った幼虫は血流に乗って体内を移動しながら発育し、感染後、6ヶ月で成熟成虫に
なります
成虫の寿命は35、ミクロフィラリアの寿命は12といわれています

症状

 フィラリア症の症状は、寄生している成虫の数と心臓の容積(犬の体格)感染期間、寄生部位によってさまざまです

一般に寄生している数が少なければあまり症状を示すことはありませんが、その数が多数になると
フィラリアが心臓に充満し、心臓が全身に十分な血液を送り出せなくなるために
(病態の程度にもよりますが)いろいろな症状が現れてきます

【例】

     喉に骨などをひっかけたような「カッカッ」といる咳がでる

     運動を嫌がる(走りたがらない)

     散歩中に立ち止まる、呼吸が荒くなる

     激しい運動後や興奮時に失神して倒れる

     体が痩せて、お腹が張ってくる

     コーヒー色や赤い尿をする(元気、食欲がなくなる)

 治療

 治療は、病態に応じて内科的、外科的に行われます

咳がでていれば咳を抑えるようにしたり、肝臓や腎臓などが障害をうけていれば、それに対する処置を、また外科的に成虫を取り出すなど治療はさまざまですので、その子にどんな治療が必要なのかなどは獣医師におたずねください

  キーワード2

       フィラリア症は予防のできる病気です

フィラリアは、一度感染すると体外に排出することができない、厄介な寄生虫です

しかし、現在では予防薬を1ヶ月に1回飲ますことで100%予防ができます

予防

 「蚊に刺されない=フィラリアに感染しない」と、蚊取り線香をたいたり、散歩に行かないなど
の方法をとられる飼い主さんがおられますが、日常生活のなかで蚊を完全に防除することは
不可能です。
犬が蚊に刺されないようにするより、予防薬を飲ますことのほうが最善の方法なのです

当院では、1ヶ月に1度、体重にあわせた薬を飲ませています

予防期間は、蚊が出始めた5~蚊のいなくなった1ヵ月後の11までの7ヶ月間です

 予防薬は、フィラリア感染犬(特にミクロフィラリア陽性犬)に飲ませた場合、血液中の
ミクロフィラリアを殺すと同時に犬がショック状態に陥ったり、発熱したりすることがあります
ですから、予防薬を投与する前に必ず血液検査が必要になります

 毎年きちんと予防していれば簡単な血液検査(血液中にミクロフィラリアがいないかを調べる顕微鏡を使った検査と、余った血液で肝臓と腎臓の機能を調べる簡単な生化学検査も一緒に)で済みますが、予防をせずに夏を越した経験のある犬や、予防をしていたが完全ではない(飲ませない月があった)
などの場合は、詳しい検査(抗体検査)が必要です


 なお、子犬の場合は、夏を越した経験がなければ血液検査は必要あり
ませんが、体重の変動があるでしょうから体重測定のため、大変ですが月に一度(体重が安定する頃まで)は来院されてください

 

キーワード3

     予防は毎年5月から11月まで

 体重にあわせた予防薬を、1ヶ月に1度忘れずに投薬しましょう!!

最後に・・・悲しいことに、地域によって格差はありますが室外犬では約40%・室内犬では約7%、予防をせずに夏を3回越すとおよそ9割の確率で感染している可能性があるとも言われています

この恐ろしい病気から愛犬を守る方法は、予防しかありません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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