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瓜実条虫(サナダムシ)とは?ペットの健康を守るために知っておきたいこと

      2024/09/27

「うちの子のお尻に白い米粒みたいなのがくっついてた。」ここ数日、耳にすることがありました。
これは瓜実条虫(サナダムシ)といってノミを中間宿主とした寄生虫です。

瓜実条虫(サナダムシ)について

瓜実条虫(サナダムシ)とは?

瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)は、一般的に「サナダムシ」とも呼ばれる寄生虫の一種で、犬や猫に感染することが多い寄生虫です。腸で見つかる寄生虫のひとつで、頭部といくつもの体節から成る、平らな胴体を持っています。体節の部分は動物の便と一緒に体外に排出されますが頭は腸の内壁についたままで、そこから新しい体節ができてきます。体外に出たばかりの体節は白っぽい色をしており、体外に出たばかりの体節は白っぽい色をしており、乾燥すると米粒のようになります。犬や猫に最もよく見られる条虫感染症のひとつであり、放置すると健康に悪影響を及ぼすことがあります。                                                                         

 

 

 

瓜実条虫(サナダムシ)

    

 

 

※瓜実条虫(サナダムシ)の片節

 

 

 

※瓜実条虫(サナダムシ)の卵「顕微鏡で見た画像」

 

 

感染経路

瓜実条虫の感染経路は主に ノミ です。瓜実条虫の幼虫はノミの体内に寄生しており、ノミが犬や猫に寄生した際に、動物がそのノミを誤って飲み込むことで感染が成立します。動物の腸内でサナダムシは成虫に成長し、卵を排出します。

感染プロセス

  1. ノミが瓜実条虫の卵を摂取
    瓜実条虫の卵は、感染した動物の糞便中に含まれており、ノミの幼虫がこれを摂取します。

  2. ノミの成長と動物への感染
    成長したノミが犬や猫に寄生し、そのノミを動物がグルーミングで舐めたり噛んだりした際に体内へ入ります。

  3. 条虫の成長と排出
    動物の腸内でサナダムシが成虫となり、体節と呼ばれる卵を含む部分を糞便中に排出します。

主な症状

瓜実条虫に感染しても、軽度であれば無症状のこともありますが、重度になると以下のような症状が現れることがあります。

  • 下痢や便秘
    瓜実条虫が腸内で栄養を吸収するため、消化不良や下痢、便秘を引き起こすことがあります。

  • 体重の減少や毛並みの悪化
    寄生虫に栄養を奪われるため、体重の減少や毛並みの悪化が見られることがあります。

  • 肛門周辺の痒みや異物感
    サナダムシの体節が肛門付近に排出されるため、犬や猫が肛門をこすりつける動作(スリスリ)や異物感を示す行動が見られます。排泄物に白いゴマ状のサナダムシの体節が混じっていることもあります。

  • 嘔吐
    サナダムシが腸内で増殖し続けると、嘔吐することもあります。

治療方法

投薬治療

駆虫薬が主な治療法です。一般的に使用される薬は プラジカンテル(Praziquantel)や ニクロサミド などで、サナダムシを効果的に駆除します。駆虫薬は動物に合った適切な量を獣医師の指示に従って投与する必要があります。通常、数日以内にサナダムシは体内から排出されますが、感染が再発しないように、感染源である ノミの駆除 も同時に行うことが重要です。

ノミの駆除

サナダムシ感染の予防と再発を防ぐためには、動物に寄生している ノミの駆除 が欠かせません。ノミ取りシャンプーやスポットオンタイプの薬を使用し、徹底的にノミを駆除します。また、家の中や寝床のノミ駆除も同時に行うことが推奨されます。

予防方法

  1. ノミの予防・駆除
    瓜実条虫の感染は、ノミを介して行われるため、定期的なノミの予防が最も重要です。ノミ駆除薬を使用し、ペットの皮膚や被毛を定期的にチェックしましょう。外出する機会の多い動物には、特に注意が必要です。

  2. 住環境の清潔さを保つ
    ノミの卵や幼虫は家の中のカーペットや家具、寝床に潜んでいることが多いです。掃除機をかけたり、寝床を定期的に洗うことでノミの発生を防ぐことができます。

  3. 定期的な健康診断
    年に数回、動物病院で健康診断を受けることも効果的です。早期発見と早期治療が動物の健康維持につながります。

Q&A:瓜実条虫に関するよくある質問

Q1: 人にも感染しますか?

A: はい、瓜実条虫は ヒトにも感染する可能性 があります。特に、子供が犬や猫のノミを誤って飲み込むことで感染することがあります。ペットと接触する際には、適切な衛生管理が重要です。

Q2: ペットに瓜実条虫が感染しているかどうかを確認する方法は?

A: 糞便中に 白いゴマ状のサナダムシの体節 が見られる場合、瓜実条虫に感染している可能性があります。肛門周辺の痒みや、ペットがしきりに肛門をこすりつける動作が見られる場合も注意が必要です。確定診断は、獣医師による糞便検査が必要です。

Q3: 駆虫薬は1回だけで十分ですか?

A: 基本的には、獣医師の指示通りに駆虫薬を1回投与するだけで効果がありますが、ノミの再感染があると再び条虫に感染する可能性があります。そのため、ノミ駆除も徹底的に行うことが必要です。

Q4: ノミがいなくなれば、条虫感染は予防できますか?

A: はい、ノミが瓜実条虫の感染源となるため、ペットや住環境からノミを排除すれば、条虫感染を予防することができます。ノミ予防策を徹底して実施することが大切です。

Q5: 瓜実条虫感染の治療後、再発する可能性はありますか?

A: ノミの駆除が徹底されていれば、再発のリスクは低くなります。しかし、再びノミに寄生された場合は再感染のリスクがあるため、継続的なノミ対策が重要です。

 

↓サナダ虫の動き方はこうです!

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