動物の病院 くすめ

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愛犬・愛猫のお口ケアで守る健康と幸せな毎日

      2025/03/21

お口の健康が全身の健康に影響します

犬や猫も人間と同じように、口の中の健康がとても重要です。歯周病や口臭などのトラブルを放置すると、全身の健康に悪影響を及ぼすことがあります。ペットが長く元気に過ごせるように、日々の口腔ケアを大切にしましょう。


歯石ができるまで

食べかすや細菌が歯の表面に付着すると「歯垢」となり、これが放置されると数日で石灰化して「歯石」になります。歯石は細菌の温床となり、歯周病の原因になります。

 

 

 

 

 

 

① 食べかすや細菌が歯の表面に付着(歯垢の形成)

食事をすると、歯の表面に 食べかすや細菌 が付着します。これらが集まって ネバネバした膜(歯垢) を作ります。

🔹 歯垢は数時間~1日で形成される

🔹 歯垢の約80%は細菌 で構成されている

🔹 歯磨きで簡単に落とせる

しかし、歯磨きをせずに放置すると…


② 歯垢が石灰化し、歯石に変化(約3~5日)

歯垢は 唾液中のカルシウムやリン酸 と結びつき、 約3~5日で硬い歯石 に変わります。

🔹 歯石になると歯ブラシでは取れない

🔹 表面がザラザラしているため、さらに細菌が付きやすくなる

🔹 放置するとどんどん厚くなり、歯周病の原因に

この段階で動物病院での歯石除去が必要になります。


③ 歯石の蓄積が進み、歯周病が発生(数週間~数ヶ月)

歯石が増えていくと、細菌が繁殖し 歯肉の炎症(歯肉炎) が起こります。さらに悪化すると 歯周病 へと進行します。

🔹 歯茎が赤く腫れる

🔹 口臭が強くなる

🔹 歯がグラグラし、最悪の場合抜ける

🔹 細菌が血流に乗り、心臓・腎臓などに影響を及ぼすことも


歯周病のリスク

歯周病を放置すると、歯の根元から細菌が侵入し、血流に乗って心臓や腎臓などの重要な臓器に影響を及ぼすことがあります。これにより、全身の健康が損なわれる可能性があるため、早めの対策が重要です。


動物病院での歯石除去だけでは不十分!

「動物病院で歯石を取ってもらったから大丈夫!」と思っていませんか?

確かに、歯科処置後は歯がきれいになりますが、それだけでは十分ではありません。大切なのは その後のホームケア です。せっかく頑張って治療を受けたのに、お手入れをしないとすぐにまた歯石がついてしまいます。ペットの健康を守るためにも、日常のデンタルケアを習慣化しましょう。


おすすめのケア方法

1. 毎日の歯磨き

食後にガーゼや歯ブラシを使って、お口の中を優しく拭いたり磨いたりしましょう。人間が食後に歯を磨くのと同じように、ペットのお口も清潔に保つことが大切です。

ポイント

小さい頃から慣らす:成犬・成猫になると嫌がることが多いため、子犬・子猫の頃から徐々に口周りを触る練習をしましょう。まずは口元や頬をなでることから始め、次に上唇をめくって前歯・歯茎・犬歯に軽く触れる練習をしてください。

無理はしない:嫌がる場合は無理をせず、少しずつ時間をかけて慣らしましょう。


2. デンタルケア用のおやつやおもちゃの選び方

デンタルケア用のおやつやおもちゃは、歯磨きが苦手なペットのサポートとして有効ですが、選び方を間違えると 歯や健康に悪影響を及ぼす ことがあります。以下のポイントを参考に、ペットに合ったものを選びましょう。

選ぶ際のポイント

硬すぎないものを選ぶ

 ・あまりにも硬いガムやおもちゃ(鹿の角、牛の骨、硬いプラスチック製のものなど)は、歯が折れたり、ヒビが入る 原因になります。適度な弾力があるものを選びましょう。

サイズが適切なものを選ぶ

 ・ペットの口の大きさに合わないと、丸呑みの危険 があります。必ず適切なサイズを選び、飲み込めないように注意しましょう。

歯垢・歯石の予防効果があるものを選ぶ

 ・デンタルガムやおもちゃの中には、摩擦で歯垢を除去できる設計 のものがあります。獣医師が推奨するものや、科学的に効果が認められているものを選ぶのが安心です。

添加物やカロリーに注意する

 ・デンタルケア用のおやつの中には、糖分や添加物が多く含まれているもの もあります。毎日与えるものなので、できるだけ 無添加で低カロリー のものを選びましょう。

誤飲しやすい形状のものは避ける

 ・細かく砕けやすいものや、小さくなったおもちゃは、誤飲や窒息の原因になります。必ず 遊ぶときに様子を見守り、傷んだら早めに交換 しましょう。

デンタルケア用のおやつやおもちゃを使用するときの注意点

完全に歯磨きの代わりにはならない

 ・デンタルガムやおもちゃだけでは、すべての歯垢や歯石を防ぐことはできません。あくまで補助的なケアとして活用し、可能な限り 歯磨きと併用 しましょう。

与えるときは必ず見守る

 ・誤飲や歯の破損を防ぐため、デンタルケアグッズを与えるときは 飼い主さんがしっかり見守る ことが大切です。

ペットの歯や体調に合ったものを選ぶ

 ・シニア期のペットや歯が弱い子には、より柔らかいものを選ぶなど、個々の健康状態に合ったケアグッズ を選びましょう。


3. 定期的な獣医師のチェック

ホームケアだけでは完全に防げない歯周病もあるため、定期的に動物病院で歯の健康チェックを受けましょう。歯石の除去や、適切なケアのアドバイスをもらうことで、ペットの健康を守ることができます。


飼い主さんからのQ&A

🦷 Q. うちの子が歯磨きを嫌がります。どうすればいいですか?

👉 A. まずは口元を触る練習から始め、徐々に慣らしていきましょう。無理に歯ブラシを使うと逆効果になることがあるので、ガーゼや指サックタイプの歯磨きアイテムを使って、少しずつステップアップするのがおすすめです。

🦷 Q. デンタルガムだけで歯磨きはしなくても大丈夫?

👉 A. デンタルガムやおもちゃは補助的なケアとして有効ですが、歯ブラシによるケアには及びません。できる限り歯磨きを取り入れ、難しい場合は獣医師と相談しながら別の方法を探しましょう。

🦷 Q. どのくらいの頻度で歯科チェックを受ければいいですか?

👉 A. 最低でも年に1回、できれば半年に1回の歯科検診がおすすめです。シニア期に入ったら、より頻繁にチェックを受けることで病気の早期発見につながります。


ペットのお口の健康を守ることは、全身の健康を守ることにつながります。

毎日のケアと定期的なチェックで、いつまでも元気に過ごせるようにしてあげましょう! 😊🐶🐱

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