猫の環境ストレス:サインの見極め方と予防方法
2025/04/04
環境変化による猫のストレスと対策
最近、「体を頻繁に舐めて脱毛してしまう」「トイレ以外の場所で排泄をしてしまう」といったお悩みを持つ飼い主さんが来院されました。共通する要因として、新しい家族が増えたり、新たにペットを迎え入れたりといった環境の変化がありました。
猫は縄張り意識が強く、環境の変化に敏感な動物です。少しでもストレスを軽減し、快適に過ごせるようにするための対策をご紹介します。
ストレスのサイン
猫がストレスを感じると、以下のような症状が見られることがあります。
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食欲不振:急に食べなくなる、または食事量が減る。
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隠れる:普段いる場所から離れ、長時間隠れる。
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過剰なグルーミング:毛が抜けるほど体を舐め続ける。
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攻撃的な行動:急に噛んだり引っ掻いたりする。
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トイレの失敗:トイレ以外の場所で排泄する。
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異常な鳴き声:不安そうに頻繁に鳴く。
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嘔吐・下痢:ストレスが消化器系に影響を与えることも。
ストレス要因と予防策
① 引っ越し
転勤や新生活に伴う引っ越しは、猫にとって縄張りを失う大きなストレスです。環境が変わる際は、以下のポイントを心がけてください。
✔ 今まで使っていたものを持ち込む(トイレ・食器・ベッドなど) ✔ 家具の配置を急に変えない ✔ 安心できるスペースを作る(キャリーケースや隠れられる場所を用意)
② 家族構成の変化
家族の増減(出産・結婚・単身赴任など)も猫にとって大きな変化です。
✔ 新しい家族に慣れるまで無理に構わない ✔ 猫から近寄ってきたらおやつを与えてポジティブな印象をつける ✔ 今までのルーティンを大きく変えない
③ 来客
知らない人が家に来ると、猫は警戒してストレスを感じることがあります。
✔ 別室に誘導する、またはキャリーケースを用意する ✔ 水・食事・トイレを確保して安心できる環境を作る ✔ 無理に来客と対面させない
④ トイレ環境
猫は非常にきれい好きなため、トイレ環境が適していないとストレスになります。
✔ 猫の頭数+1個のトイレを用意する(多頭飼いの場合) ✔ 使用後すぐに掃除し、常に清潔に保つ ✔ 食事場所とトイレの距離を十分に確保する
⑤ 運動不足
運動できない環境は猫にとってストレスとなります。
✔ キャットタワーや棚を利用して上下運動ができる環境を作る ✔ おもちゃを活用して遊びの時間を確保する
⑥ 騒音
工事や大きな音も猫のストレス要因になります。
✔ 静かな場所に避難所を作る(ダンボール+毛布など) ✔ 過ごしやすい静かな部屋を提供する
ストレスが原因で引き起こされる病気
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ストレスが原因で引き起こされる病気
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下部尿路疾患(FLUTD):膀胱炎や尿路閉塞などを引き起こす。
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過剰グルーミング(心因性脱毛症):舐めすぎて毛が抜ける。
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消化器系の不調:嘔吐・下痢・便秘が起こる。
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免疫力低下:感染症にかかりやすくなる。猫ヘルペスウイルス感染症(ネコカゼ)やその他の感染症(猫伝染性腹膜炎(FIP))にかかりやすくなることがあります。
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行動問題:攻撃的になる、鳴き続ける、トイレの失敗が増える。
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肥満や体重減少:ストレスが食欲に影響を与える。
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よくある質問(Q&A)
Q1. 新しい猫を迎えたら先住猫が威嚇します。どうすればいいですか?
A1. すぐに対面させず、最初は別の部屋で過ごさせましょう。徐々に匂いを交換しながら慣れさせることが大切です。
Q2. 引っ越し後、猫がご飯を食べません。どうすればいいですか?
A2. 新しい環境に慣れるまで時間がかかる場合があります。今まで使っていた食器や寝床を活用し、安心できる空間を作ってあげましょう。
Q3. 来客時に猫がずっと隠れていますが大丈夫ですか?
A3. 警戒心の強い猫は、知らない人を怖がることがあります。無理に出さず、静かに過ごせるスペースを確保しましょう。
Q4. 多頭飼いでトイレが足りない気がします。どうしたらいいですか?
A4. 猫の数+1個のトイレが理想です。スペースの問題がある場合は、こまめに掃除して清潔を保つようにしましょう。