除去食試験
2024/09/29
除去食試験は、犬や猫に食物アレルギーが疑われる場合に行う、アレルギー原因となる食材を特定するための食事療法です。以下に除去食試験の目的や手順、注意点を詳しく説明します。
1. 除去食試験の目的
- 食物アレルギーを引き起こしている特定の食材(主にタンパク質や炭水化物源)を特定し、アレルギー症状を緩和するために行います。
- 犬や猫がかゆみや皮膚炎、消化不良(嘔吐や下痢)などを引き起こしている場合、原因となる食材を排除し、症状が改善するかを確認します。
2. 除去食試験の手順
1. 低アレルゲンフードの導入(除去食の選定)
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新しいタンパク質源と炭水化物源を使用した除去食を与えます。理想的には、ペットがこれまでに食べたことがない食材を選びます。これにより、食物アレルギーの原因となっている可能性のある食材を排除することができます。
例:
- タンパク質: 魚、鹿肉、カンガルー肉などの新奇タンパク質
- 炭水化物: ジャガイモ、サツマイモ、豆類など
療法食(低アレルゲンフード):
- 獣医師が推奨するアレルギー対応のフード(加水分解タンパクフードなど)も有効です。加水分解されたタンパク質は、体がアレルギー反応を起こしにくい構造に分解されています。
2. 試験期間の継続
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除去食試験の期間は8~12週間が一般的です。この期間中、犬や猫に除去食のみを与え、他の食べ物やおやつ、ビタミンサプリメントなどは避けます。これにより、特定の食材がアレルギーの原因であるかどうかを確実に確認します。
注意点:
- 試験期間中は、テーブルフードやおやつ、食材が混ざっていないか注意します。少量でもアレルゲンが摂取されると、試験結果に影響を与える可能性があります。
3. 症状の観察
- 試験中、ペットの皮膚のかゆみや発疹、消化器症状が改善するかどうかを注意深く観察します。除去食によって症状が改善されれば、アレルギーの原因が食物であることが強く示唆されます。
3. 再挑戦試験(挑発試験)
除去食試験の期間中に症状が改善された場合、次に行うのが再挑戦試験です。これは、以前に食べていた食材を再度与え、アレルギー反応が再発するかを確認するステップです。
1. 再挑戦の実施
- アレルギーが疑われる食材を一つずつ少量ずつ与え、症状が再発するかどうか確認します。
- 1つの食材を追加して1~2週間観察し、アレルギー症状が再発するかをチェックします。
2. アレルギー食材の特定
- もし特定の食材で症状が再発した場合、その食材がアレルギーの原因である可能性が高いです。再発が見られなければ、別の食材で再挑戦を行います。
3. 継続的な食事管理
- アレルギーの原因食材が特定された場合、その食材を排除した食事管理を続けることで、アレルギー症状を長期的にコントロールすることができます。
4. 注意点と対策
1. 必ず獣医師の指導のもとで行う
- 除去食試験は獣医師の指導に従って行うことが重要です。栄養バランスを考慮し、適切なフードを選ぶ必要があります。除去食のみで栄養が偏ることを防ぐために、栄養素が豊富な低アレルゲンフードを選びましょう。
2. 試験期間中は一貫性を保つ
- 他のフードやおやつを与えることは試験の結果に影響を与えます。家族全員で協力し、食べ物の管理を徹底しましょう。
3. 長期間にわたるケア
- 食物アレルギーが特定されれば、その食材を避ける食生活を続けることがペットの健康を守るために重要です。再発防止のため、常にアレルギーに配慮したフードを与えましょう。
5. 除去食試験の成功例
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皮膚のかゆみや炎症が軽減:
除去食試験を行うと、多くの場合で皮膚のかゆみや赤み、発疹が改善されます。特に食物アレルギーが原因である場合、症状の変化は目に見えて現れやすいです。 -
消化器症状の改善:
嘔吐や下痢が止まるなど、消化不良が改善されることが確認されることも多いです。
まとめ
除去食試験は、犬や猫の食物アレルギーを特定するための効果的な方法であり、正確な診断には8~12週間かかります。試験の成功には、食事の一貫性と慎重な観察が重要です。アレルゲンが特定されれば、その食材を避けることでペットの健康を改善し、アレルギー症状の再発を防ぐことが可能です。